一つの作品が完成するには、多くのスタッフの力が必要となる。『コードギアス 反逆のルルーシュ』もまた例外ではない。さまざまなプロフェッショナルの力が一つの結晶となり、『コードギアス』という作品に輝きを宿らせたのである。

ナイトメアフレームの技術的バックグラウンドから、世界観の奥行きを感じさせる一言二言のセリフまで。特殊設定という役職のカバーする範囲は実に広い。
「設定をまず考えて物語を動かすのではなくて、物語をおもしろくするために、あとから技術的・軍事的なアリバイを用意するのが『コードギアス』における特殊設定の役割です。とはいえ『コードギアス』は何が起きるかわからない内容なので、絵コンテを見るたびに『え、これの理屈を考えるの!?』とびっくりすることが多々ありましたよ」

たとえば紅蓮聖天八極式。

「谷口監督からのオーダーは、ロイドとセシルがブリタニア系の技術でシステムを改修したので起動画面に出てくるシステム名を考えてほしいとい、と。しかも、それを咲世子が『聖天八極』と誤読するような名前にしてほしい、という縛りつきで。これはどう誤読させるか、頭を悩ませましたね。」

その成果が「Superlative Extruder Interlocked Technology Exclusive Nexus / EIGHT ELEMENTS」という言葉に。
第18話の起動シーンに一瞬映し出されるだけだが、もっともらしい言葉でデコレーションされているからこそ『コードギアス』なりのリアリティがそこに生まれているのだ。

とはいえなんでも考えればいいというわけではない。 「設定を考えるとどうしても使ってもらいたくなる。でも、作品をおもしろくするには、そうして考えたアイデアを捨てたほうがいい時もある。実は設定を考えるんじゃなくて、そういう引き算をちゃんとできることが、こういう仕事では重要なことなんです」


そんな森田の仕事を支えるのは、椅子とキーボード。椅子はマンガ家など「座り仕事」のプロフェッショナルたちが必ず選ぶ、という高級椅子アーロンチェア。そして“筆記用具”であるキーボードは、タイプ感の良さに定評のある東プレ製。
「アーロンチェアは大河内さんに薦められたんです。サラリーマンがスーツにこだわるように、物書きは椅子にはこだわったほうがいい、と。おかげで腰痛が楽になりました。逆に僕は、大河内さんに東プレのキーボードを薦めたんです」 プロの仕事を支えるのは、プロの道具なのである。